爾なんじの俸ほう、爾なんじの禄ろくの四句（爾なんじの俸ほう、爾なんじの禄ろくは民の膏、民の脂なり。下は、民たみは虐しいたげ易やすく、上は、天てんは欺あざむき難がたし）、人はただ宋そうの高宗こうそうの語なりと知るのみ、後のちに張端義ちょうたんぎの『貴耳集きじしゅう』を読みて、是これ蜀王しょくおうの孟昶もうちょうの語なるを知る、本もとは二十四句なり。而しかるに高宗之を摘取てきしゅす。

右は丁巳ていし十一月五日、高杉暢夫たかすぎちょうふ来たりて樂翁公らくおうこう四句墨本ぼくぼんを示す。
余は因よって検しらべて曽かつて鈔録しょうろくする所、以もって之これを贈おくる。

藤矩方とうののりかた識しるす